![]() 2012
02/25 10:00 |
( 命の継承と運命 8.) 功利と近代的自我の残骸 3. / 肥大した少陽Category : 絶家の家族関係
![]() 皇居 汐見坂を下りて(昨秋の)東御苑の紅葉 向こうは丸の内。 汐見坂と云う通り、江戸時代は、この辺りまで江戸の海があった。 前回の記事で、 日本中が、なんだかナー? このまま行くと、 勝手な自己実現を目指す妻と、我慢をして生活を担う夫。 これを、見て、子供が自立や結婚に希望を持つ訳がないわ。 こう書きました。 今日は、それに当てはまるであろう、ある例を紹介致します。 ( 命の継承と運命 8.) 功利と近代的自我の残骸 3. 肥大した少陽 いままでも、東洋の易学、『陰陽学』の観点からの記事に、 より幅広く西洋のユング心理学を混ぜて解釈して来ました。 東洋の『陰・陽』を説明しやすいと云う理由で 便宜上、 『陰』 = 無意識 『陽』 = 意識 としました。 また今回、 『陰』 = 母性 『陽』 = 父性 としますが、 厳密に言えば、西洋 = 東洋と云う訳にはいきません。 西洋と東洋では、根本の思想が、自然観、生命観、人間観が違います。 従って、西洋的概念と、東洋的概念は一緒にはなりません。 が、 導入部においては、 分かりやすいのではないかと思いますので、便宜上そうします。 東洋で陰陽学が発達した同時期の西洋には、 そう云った概念はありませんでした。 20世紀に、カール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung)が、 アニマ Anima (女性の中の男らしさ)と、 アニムス Animus (男性の中の女らしさ) を唱えています。 が、少陰、少陽、アニマ、アニムスまでをそれぞれ = にしますと、 一番根本的な部分に齟齬、矛盾が出て来る可能性がありますので、 この部分は、関係ないものとして扱います。 西洋のアニマ、アニムスは認識論です。 それに引き替え、 東洋の『少陽』、『少陰』は、時間軸において動的に変化します。 宇宙のダイナミズムを捉えるのは、東洋が一枚上手でしょうね。 ほほ。 自然の、ある真実の姿を捉える、西洋と東洋は、これだけ違います。 東洋学においては、 女性にも、成熟した『老陰』と、未熟な『少陽』が具わります。 男性にも、成熟した『老陽』と、未熟な『少陰』が具わります。 ここでは、『少陽』とは、女性のなかにある『未熟な父性』とし、 『少陰』は、男性のなかにある『未熟な母性』と理解をしてください。 今回は、 この女性のなかの『少陽』・未熟な父性が肥大をしたらどうなるか? そう云う記事になると思います。 あっ、 アテンションプリーズ!! ちゃんとした『陽』ではなく、『未熟な陽』の肥大化ですよ。 これは ! 困った事になってしまいそう!!! ふっ――。 ご相談者、Aさん・50代の女性、ご実家のお悩みでした。 Aさん自身は、もともと、夫と長女、長男の4人家族でした。 夫は、会社を経営し、現在はいろいろあって別居中です。 娘さんは、だれの云う事もきかない ① 自我意識の強い性格です。 命式は、家庭運はありません。異性関係はあるけれど、結婚はない。 それを証明するように、”お母さんのように結婚なんかしないわ! 男は何人も作って遊ぶものよ。”と高校時代から言っていたそうで、 大学卒業後、音楽家を目指すと云って、現在アメリカに居ます。 しぶる父親にムリムリ、アメリカへの仕送りをさせています。 父親にお金を出させるのが得意! お母さんのも、貰ってあげようか? とのたまう姫です。 やさしい長男は、既婚、娘のいる銀行員です。 お嫁さんの実家から筋向いの場所に新居を構え、 お嫁さんの母親が毎日、孫娘の世話に通っている状態です。 お嫁さんのご実家も会社経営、父親は日本一の大学出身です。 行動的な野心的な娘さんと、家庭的な長男との性格が、 まるで正反対なら良かった。と言われていました。 家庭的な娘なら、一緒に暮らせただろうと云う気持ちでしょう。 Aさん宅は、現在、4人の家族がバラバラに暮らしています。 Aさんの御実家は、両親と兄2人、Aさんの5人家族でした。 Aさんのお悩みとは、この二人の兄の事です。 ご両親は、共に学校の先生をされていた。 現在、長生きをして実家で一人で暮らす母親は80代ですが、 元気そのもの、ヨガを教えているとか。 先に亡くなったおとなしい父親に比べると、自分の言いたい事を言い、 自己主張は通してしまう、常にプライドの高い方だそうです。 常に、母親の口から出る父親の悪口を、Aさんは聴いて育った為に、 そのまま信じて疑わず、つい最近まで、もう亡くなった父親の事を、 本当にだめな人間だったと思っていたと言うのです。 そして、自分と夫との関係を悩み始めてみて、 初めて無口な父のやさしい性格が理解できたそうです。 今更ですが、父の様な男性と結婚をすればよかったと。。 。 今後、実家に、母に、何かがあった時に、二人の兄を頼れない。 そう云うご相談でした。 Aさんの長兄は、さすが、教師であった両親の息子なのですね。 自力で日本一の大学を卒業されて、現在、私立大学の教授をしています。 60代で、ずっと独身、父親の法事に一度も帰って来ない。 両親のお墓の事、母の老後の事を相談をしても、 「自分は墓の世話をする気はない。自分のも作る気はない。 そっちで勝手にしてほしい。」と云う返事しか返ってこない。 本も出され、大学で哲学を教えておられる方です。 次兄はと云うと、実家の近くの地方都市に住んでいるが、 もともと金銭的にダメな人で、借金を母親に返してもらったり、 フィリピン女性との間に長男がいるのだが、 女性とその長男は家を出て行ってしまい、一人で暮らしている。 実家の事をとても相談など出来る兄達ではないと云う事でした。 要は、お嫁に行った自分しか実家の事を気にする身内がいない。 自分の置かれているどっちを見ても、 ヒタヒタと押し寄せてくる人生の孤独感を持っているのでした。 皆さまは、どうお考えになられるか? ある意味、Aさんのお身内は、すばらしいご一家なのですよ。 一般的に人がしあわせになろうとして憧れる学校、職業と云うもの。 日本一の大学、教師、会社社長、大学教授、海外留学、銀行員、 これらの学校や職業が、キラキラしています。 決してこれらを貶(おとし)める訳ではありませんが、 これらの憧れを意識上に現象として夢を実現をしたところで、 本当に欲しいものは、手には入らないのですね。 余りにも意識の作り上げた現象(無常)の価値観を追いかけて、 『陽』の世界こそが真実と、エネルギーを注ぎ込んで来た結果です。 それは、ある意味、今の様な物質文明では勝者かも知れません。 しかし、最後の瞬き、消える前の炎の揺らめきでしょうか? Aさんのご実家は、だれも『陰徳』を積む人がいなかったのです! ここでの、キーパーソンは教師であった実母です。 家族みんなが、いそいそと『陽』のお金儲けへ出て、 ほほっ。 『陽』の欲望達成に先祖の『陰徳』を消費しただけ..... 人の意識が作り上げる此の世=現象世界の競争に勝って、 ウマく成功したと社会的価値を得たからと云って、 近代化以降の【家族道徳】の崩壊を食い止める事もできず、 意識ではどうしようもない ”いのちの継承”が行き詰まった姿です。 何度か、いままでの記事に書いて来ました言葉、 刀は、切っ先から毀(こぼ)れる。 (鋭く研いだ剣は、研ぎ済ました刀の先から欠けていくものだ。) 研ぎ澄ましたら、終わりなのです。 近代化の先進性の競争に勝った、その時点から刃は毀れていくのです。 偽の世界 『陽』は、かならず滅びます。 それを、再確認するような感慨を、いつも感じています。 ご相談の内容を、次のように色で分けてみました。 この色の部分は、兄や夫がいるのに=男が頼りにならない。 女系の家系の生まれの女であるAさんの運命です。 この色の部分は、女系の家系における男と女の機能の逆転です。 この色の部分は、女系の家系における不甲斐無い男性の姿です。 「女系の家系」を、言い換えれば、 男性がいても「父権」の実態がない家と言えるでしょう。 父性が、社会や家庭において発揮する特性とは、 自らの欲望をコンロールしつつ、全員の将来を考えるリーダーシップ、 家族や社会の全員の取りまとめ、ルールを教える役割。 そのルールの堅持と遂行、それに伴う責任感、 ある時は、それに命を懸ける。 社会、家庭の中で、その集団のルールや文化を伝承して行くには、 この父性が絶対に必要であると云う事です。 基本的には、 父性を発揮するのに適しているのが男性・父親です。 大げさではなく、男は、その為に命をかける事だってある。 そこが、成熟した『老陽』の意味する処なのです。 父性の欠如は、その集団の気力が衰え、散漫になります。 エ――? なんだか、ここまで書いて来まして、、、、、 わが国のこと? って、 あはは。 国全体の父性と云える機能が、マヒしている状態ではありませんか? 必要な決める事が決められない!!! 国会議員も官僚も自らの欲望をコントロールでき得ていない。 全体の将来を考えるリーダーシップがない。 ルール(道徳)を教える機能が社会にない。 国として集団の文化を伝承する事が、でき得ていない。 伝承していく全(まった)き国史がない。 国の歴史が必須教科になっていない。 『陽』の真骨頂、命を懸けて、国を守る。 それが希薄ですね―――― 命を懸けて、命を守るのは母性です。 その命の拠り所=国と云う入れ物を、命を懸けて守るのが父性です。 まったく、わが国は父性が体現されていませんね。 全き国軍と呼べる軍隊がない。 あ、戦争をしない為の軍隊ですよ。 我が国は、言い訳、ウソで固めた変な国です。 いつからか? 先の戦争から、日本は、このままでは女系の国だわ。 ま、それは、又の記事にしましょう。 ほほ。 Aさんの母上の事は、詳しく聞いておりませんが、 ご相談の内容と、母上の命式から解る事は、 姉妹ばかりの家=女系の家の生まれと育ちであるか、 男女の機能が逆転した、弱い兄弟のいる生まれであろうと想像できます。 夫につらく当たった態度から見ますと、 元々の身についた躾が、男性的権威に従う事がむずかしいのです。 育った家庭の中に、父権・男性的徳性が備わっていなかった。 時代の風をすばやく取り込める精神的に強い母親が、 家を取り仕切っている姿を、おそらく見て育ったと思います。 だからこそ、その年代で、 教師になる=進学を認めてもらえる家庭であったはずです。 深く言いますと、(皮肉ではありませんよ。) あっはあ。 家族道徳の崩壊した家庭の、お育ち。 と思います。 今日、ご紹介したAさんの一番欲しいもの、 それは、だれもが欲しいものでしょう。 これらの恵みは、意識ではコントロールできません。 これらは、自然から無意識の恵みとしてもたらされるものです。 自然の人間としては当たり前なしあわせ。 それが実現していない。 自然ではない、自然の在りように反逆している人間の生き方、 意識へ偏り過ぎたいのちの歪みの姿です。 天は、人間の意識が作ったロジックの通りに、動いていません。 自然は、絶対に人間の意識に合わせて動きはしない。 近代化の寄せ来た功利と近代的自我のペルソナの残骸の中で、 意識では、この世界を、もうこれ以上、どうすることもできない。 と、もう、気が付いても良い頃ですね。 芥川賞の田中さんについて書くつもりでしたが、 記事が長くなりすぎました! 次回へ廻した方がよさそうです。 ほっ。 次回、冒頭に取り上げたいと思います。 ご了承くださいね。 よき、一週間をお過ごしくださいね。 参考文献: 父性の復権 林 道義 中公新書 -----------------------------------------*・・+"*☆★☆." 記事は無断転用なさいませんように、お願いします。 [一部、版権]がございます。権利は放棄しておりません。 どうぞ宜しくお願いします。
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No titleおっとどっこい、明日です。
夜回りの、深夜便で、失礼、しつれい。 よく頑張っていろんなことを調べ教えてくれます。 たしかに、これが本当の昔の人が言っていたこと、 今の日本人が失くした価値観、 軍隊、国の歴史、たしかに父性でしょう。 司法も父性と思うが、 光りの母子殺害の裁判は、母性が強い判決でした。 管理人のみ閲覧できますこのコメントは管理人のみ閲覧できます
No titleひさしぶりなコメントになります。
家族がインフルエンザで交代で病院にかかりました。 今年はひどいようですが、お体は大丈夫ですか? 毎回続けようと思っていても何かがあるとついそのまま過ごして申し訳ありません! 家庭のなかは、女がしっかり守って行かないとうまくいかないですが、 Aさんのお気持ちは、よ~く分かりますから・・・・・ 男の人が仕事を優先する現実も過ぎれば他の家族の負担が大変です。 やはり、伝統的なルール、家庭の道徳と言われているものが大事になって来るのでしょうね。 父性について考えるよい機会でした。、躾もですね。 日本もやっぱり女系の国?・・・・・ 皇室も女性ばかりが多いし、根は同じ現象。 記事を読んで見えてくることがあって、かならず参考に生かしていきたいです。 管理人のみ閲覧できますこのコメントは管理人のみ閲覧できます
No titleまだまだ、さむいですね~。もう2月もおわりです。お元気で更新をされているのに感謝します。=
ところで、女性が社会に出る功罪が分かったような気がするのですが、、、、、、= やっぱり中途半端なんですね。『少陽』では、、、= 最後は、命を懸けるかどうかという境目がある訳です。= もちろん、女性でも命がけで働いている人もいるのでしょうが、、、= やはり、妻子を養う男性とは大違いなんですね。= ちょっと分かってきたような気がします。= 娘の育て方を考え直したいと思いました。= No title外は、ゆきです。 本降りになっています。
昨日から、仕事で重い手術を、スタッフしてきました。 ほっとして・・・・・・ 皇居と言えば、天皇陛下も手術が成功をされて良かったと思っています。 さまざまの智恵を学ばせていただいてきたのに、今日の記事は超ど級だったわ。 あらためて、心(生き方)と肉体に出て来る結果は同じ本質を持っているのですね。 あぁ、もっと几帳面に生きよう、 そう思いました。 ありがとうございます!!! 管理人のみ閲覧できますこのコメントは管理人のみ閲覧できます
Re: No title> おっとどっこい、明日です。
> 夜回りの、深夜便で、失礼、しつれい。 > > よく頑張っていろんなことを調べ教えてくれます。 > たしかに、これが本当の昔の人が言っていたこと、 > 今の日本人が失くした価値観、 > > 軍隊、国の歴史、たしかに父性でしょう。 > 司法も父性と思うが、 > 光りの母子殺害の裁判は、母性が強い判決でした。 ★光の裁判、そう思われましたか? そうですね。司法までが母性へ傾いていますよね。 なんだか、みんなが女系化して行くようです。 皇室そのものがそうです。 軍隊も共鳴していただけましたか? 誤解なくてよかった。 コメントお疲れ様! あはっは。 感謝です☆cosmos Re: こんにちは。 鍵コメントさんへ
命式、近々アップ致します。お待ちになって、、、 長いコメントありがとうございました! Re: No title> ひさしぶりなコメントになります。
> 家族がインフルエンザで交代で病院にかかりました。 > 今年はひどいようですが、お体は大丈夫ですか? > ★ええ、大丈夫ですよ。大変でしたね! もうよろしいのですか? 無理はなさらないでくださいね。 > 毎回続けようと思っていても何かがあるとついそのまま過ごして申し訳ありません! > 家庭のなかは、女がしっかり守って行かないとうまくいかないですが、 > > Aさんのお気持ちは、よ~く分かりますから・・・・・ > 男の人が仕事を優先する現実も過ぎれば他の家族の負担が大変です。 > > やはり、伝統的なルール、家庭の道徳と言われているものが大事になって来るのでしょうね。 > 父性について考えるよい機会でした。、躾もですね。 > ★そう云う事でしょうね。 やはり伝統的な事は、間違っていないのね。 > 日本もやっぱり女系の国?・・・・・ > 皇室も女性ばかりが多いし、根は同じ現象。 > 記事を読んで見えてくることがあって、かならず参考に生かしていきたいです。 ★大ぴらに話題にはしないけれど、皆さんもそう気づかれているでしょう。 日本は、女系へ傾いていっていますね。 男性が力なくなるのが心配です。 この国は、国を頼れません。一人一人が変わるしかないと思っています。 よろしくお願いしますね。 感謝です☆cosmos Re: No title 鍵コメントさんへ
一番ゆるぎない幸せを築いていってください! コメントありがとうございました! Re: No title> まだまだ、さむいですね~。もう2月もおわりです。お元気で更新をされているのに感謝します。=
> > ところで、女性が社会に出る功罪が分かったような気がするのですが、、、、、、= > > やっぱり中途半端なんですね。『少陽』では、、、= > > 最後は、命を懸けるかどうかという境目がある訳です。= > > もちろん、女性でも命がけで働いている人もいるのでしょうが、、、= > > やはり、妻子を養う男性とは大違いなんですね。= > > ちょっと分かってきたような気がします。= > > 娘の育て方を考え直したいと思いました。= ★そう!、男女の違いは、どこへ命を懸けるかですね。 あはは。 そこが、違って当たり前なのです。 女性が、男性の真似をしたところで、同じにはなれません。 娘さんの育て方ですね、 あまりお勉強をさせなくていいのではないかしら? あはは。 しあわせは陰徳が大事です。 お勉強では陰徳は積めませんね。 感謝です☆cosmos Re: No title> 外は、ゆきです。 本降りになっています。
> > 昨日から、仕事で重い手術を、スタッフしてきました。 > ほっとして・・・・・・ > 皇居と言えば、天皇陛下も手術が成功をされて良かったと思っています。 > > さまざまの智恵を学ばせていただいてきたのに、今日の記事は超ど級だったわ。 > あらためて、心(生き方)と肉体に出て来る結果は同じ本質を持っているのですね。 > > あぁ、もっと几帳面に生きよう、 そう思いました。 > ありがとうございます!!! ★ごくろうさまでした! お疲れのところお大事になさってくださいね。 お仕事柄、手は抜けませんね。 でもやりがいのあること、がんばってくださいませ! 几帳面に! あっは。 感謝です☆cosmos Re: No title 鍵コメントさんへ
ご質問の件、また記事でお答えしますね。お待ちください! コメントありがとうございます! |
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