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    『呂氏春秋』 2  天・人を生じて貪(たん)有り欲有らしむ

    Category : 呂氏春秋の世界
    中国の楼

    中国の楼







    今日の記事は、『呂氏春秋』2 です。




    東洋的思想の優れている点に、欲望の扱い方があります。


    西洋的思想では、

    ギリシャ・ローマ時代からずっと理性と感性という二元的に分けて、

    これをお互いに矛盾的に対立させ、人間を説明してきました。

    ある時は理性を良しとしたり、

    ある時は理性的でありすぎると言って欲望の肯定に感性を謳ったり、

    あるいはキリスト教の原罪説から、人は罪を背負っている、

    と考える傾向が強くあります。



    私などは、十代の頃、これを本で読んで知った時、

    ”なんて西洋のキリスト教の信徒の人たちは、不自由な人間だろう。

    よく、そういう人間観の宗教で我慢をしているものだ!” 

    と同情をしたものです! (笑い)


    私なら、気が付いた時点で、どんな葛藤を経ても、

    もっと違う人間観の世界へ、きっと逃げ出しただろう~

    今でも、そう思います。

    最初の自己存在の規定からして窮屈なのだから、

    西洋人が、自由=獲得するもの、と思ったのはしょうがないわね。

    イヤ! フランス革命以降も宗教の縛りは、解けていないの~

    彼らは、ずっと原罪を背負っていかなければならないのです。


    東洋には、自由という概念はなかったのでないかしら?

    だって、もともとが、自己を宇宙と一体だと規定する思想に、

    そこから抜け出す自由は、必要なかったのだと思いますヨ!

    本当に東洋人で良かったと・・・・・実感です。





    そのように、

    東洋の私たちの思想的特長は、理性と感性と二元的に分けません。

    分けるという概念がない、と言ってもいいでしょう。

    天はひとつなのですから。

    知らずに先祖から受け継いだ考え方は、主に一元的です。






    仲春紀 (情欲)から   町田版 春の節24


    天生人而使有貪有欲。欲有情,情有節。


    聖人修節以止欲,故不過行其情也。



    『 天・人を生じて貪(たん)有り欲有らしむ。欲に情あり。情に節有り。

    聖人節を修(おさ)めて以って欲を止(とど)む。

    故に其の情を過行(かこう)せざるなり。』


    天はこの世に、人を生じさせる時に、貪(むさぼ)る心と欲望を与えた。

    その欲望には感情が伴ない、情欲には節度がある。

    それで聖人は節度を修めて欲望を支配した。

    そのおかげで過度に情欲を過ぎて行わないのだ。





    東洋は、

    貪欲や情欲を、良心や理性に反する異質の物と捉えていません。

    貪欲や情欲を、

    もともと天に具わっている働き・自然の作用として肯定をしています。

    一元的です。

    西洋のように、貪欲や情欲を悪、良心や理性を正と分けていません。

    貪欲とか情欲を嫌っているわけではないのです。

    悪といって憎まない。

    正と言って自惚れない。

    これは、ある意味、東洋人のおおらかさになっていると思います。


    西洋人から見れば、

    悪をも認める包容性として映るのではないでしょうか?



    だから、なめられる? のでしょうね~

    人がよさそうに思われる・・・何でも黙って受け入れてしまう・・・

    随分、この点が誤解されて、利用されてきたように思います。



    西洋的思考は、分類する思考です。

    理性、感性、正、悪、知、情、意、、、etc

    なにでも分けてしまいます。 

    これらはすべて部分知です。

    それを忘れて部分知で全体を推し量るという間違いをしてしまいそう。

    それでは、ついに実態を離れてしまい・・・

    ただの知識の細切れになってしまうのです。




    分けた一こま一こまの論理性は正しく思える?

    だから、平和を作るためだと言って、戦争をするのです。







    東洋的思考は、包摂する、全体知です。

    もともとひとつであった全体を会得する知です。それと我です。

    部分知のようなモノを出しながら、いつも「天」を出して全体知へ帰す。





    欲望というものを、別件扱いにしない。継子扱いにしない。

    全体のなかで、それをどう生かしていくか?

    「天」の下で恥ずかしくない欲望へと昇華させるのですね。



    元々あった欲情や情欲をやりたい放題、放漫にしない。

    やりたい放題、放漫にしたい放題する事も人間の自然なありようですが、

    その人間の自然なありようが過ぎるのを過失と言うでしょうか? 

    ほほっ。

    やり過ぎていた事を節を以って抑制することで、

    人間の自然なありようを、過ぎて行わせない。


    人間の自然なありようを、天の自然のありように近づけていく・・・

    天に我の欲望を帰していく。天と合一する我です。







    天の自然のありようを、見習って、学ぶ姿勢が根本です。


    現代の危機は、天の自然を感じられない住生活環境です。

    便利さを求めて、私たちから、自然の姿が見えなくなっている事です。






    天とは、自然の摂理です。

    自然の摂理を犯せば、動植物は死んでいきます。

    いわゆる、自然淘汰です。

    ここでいう自然淘汰とは、

    弱い者が強い者に負けて淘汰されるという事ではありません。

    天に逆らう事によって、生のリズムに乗れない。

    だから天の恩恵を受けられない。

    生命力が衰弱して、種の保存のための生命活動ができなくなるのです。


    自然の摂理を犯せば、命あるものは滅びていくしかないのです。


    ここで大事な事は、滅びるようになる原因は自己にあります。

    天に逆らう事によって自分のなかの生の灯火を、消してしまうからです。







    この事を、現代の人間は忘れていますね。





    少子化を金銭や保育所という物で解決しようとしていますが、

    解決策は、そんな所にはないような気がします。

    ある程度は、それで上向くかもしれません、、、。




    産めるけれど、産みたくない! のではないのです。




    子を産むこと自体、完全に理性的?なことではないはずですから、

    できれば産みますよ! 大抵の女性は、ね!


    だから、産める人は、産んでいます。

    経済的に大変でも、2人、3人、産んでいます。







    実際、産みたいのに、産めない体の人が増えているのです。

    そういう悩みの方がたくさん目の前に来られています。

    不妊治療をしても、体外受精をしても、

    子宮へ着床するかどうかは、自然の摂理の範疇です。

    天といい、自然ともいう領域なのです。

    人類はまだ、そこまで立ち入る通行許可証を手にしていません。




    自然の摂理が、産むことを、許さないのか?



    天に逆らったから産めないの?

    天に逆らうとは、どういう事?

    誰が逆らったの?






    一度、国もきちんと調査をするべきだと、思います・・・


    しかし、調査にどれだけ本当の事を白状するでしょうか?

    産めないのを、産みたくないと、、、



















    参考文献 : 「呂氏春秋」 町田三郎 講談社学術文庫

             百家諸子 中國哲学書

    -----------------------------------------*・・+"*☆★☆." 
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    どうぞ宜しくお願いします。

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    テーマ : モノの見方、考え方。
    ジャンル : 心と身体

            

    Comment

    何が書いてあるのか、、、

    最近は記事の更新が次々とあるので=
    楽しみでもあり、着いて行けるかしらという思いもあります=
    アドレナリンが分泌されて脳細胞も活性化するでしょうか?=

    少子化に限って言えば、産む人は産んでいます。確かに!=
    実家の兄嫁は、4人も子沢山です=
    自然が人をコントロールするとしたら、一番わかるのが出生率なのですね=
    思えば授かりものという、自然の営みそのもの、恵みそのもの!=

    待ちに待った春です。

    ポカポカ陽気ですよ!
    今日の内容は、私の仕事においても頭の痛い事です。
    だんだん人間の免疫力がおかしくなっているのは解っています。
    食そのものも、自然ではなくなっています。

    天罰が落ちると、昔の人は言ったそうですね。(笑) 私たちはどうなのでしょうか?

    現在は、生命力が衰弱している時代なのでしょうか?
    環境ホルモンが問題になりましたが、
    それもこの影響なのか心配になってきました。

    自然の摂理に添うように生活しなければいけないのですね。

    鋭いなぁ、、、

    東洋に自由の概念は無かった・・・

    成る程と、読みました、
    戦後の自由平等という教育は取って付けた、
    接木のような無意味さがあるのが、違うアングルに立つと違う世界が見えますな。
    今の若者の自由とは、そも実体なにぞや?

    Re: 何が書いてあるのか、、、

    > 最近は記事の更新が次々とあるので=
    > 楽しみでもあり、着いて行けるかしらという思いもあります=
    > アドレナリンが分泌されて脳細胞も活性化するでしょうか?=
    >
    > 少子化に限って言えば、産む人は産んでいます。確かに!=
    > 実家の兄嫁は、4人も子沢山です=
    > 自然が人をコントロールするとしたら、一番わかるのが出生率なのですね=
    > 思えば授かりものという、自然の営みそのもの、恵みそのもの!=

    ★あははっ! 大丈夫ですか?
    心身ともに若いhorinoriさんなら、だいじょうぶですね~
    命の創造自体が、おおいなる宇宙の仕業、そのものですもの、
    人は、もっと気を配るべきですね!
    いつも変わらぬご好意ありがとうございます★--------------------------:*・+☆+"*☆★☆

    Re: 待ちに待った春です。

    > ポカポカ陽気ですよ!
    > 今日の内容は、私の仕事においても頭の痛い事です。
    > だんだん人間の免疫力がおかしくなっているのは解っています。
    > 食そのものも、自然ではなくなっています。
    >
    > 天罰が落ちると、昔の人は言ったそうですね。(笑) 私たちはどうなのでしょうか?

    ★人間の免疫力、そうですね~
    自律神経そのものが自然の調和を保とうとする生命力ですものね~
    天罰、そのとおりです!!
    いつも変わらぬご好意ありがとうございます★--------------------------:*・+☆+"*☆★☆

    Re: タイトルなし

    > 現在は、生命力が衰弱している時代なのでしょうか?
    > 環境ホルモンが問題になりましたが、
    > それもこの影響なのか心配になってきました。
    >
    > 自然の摂理に添うように生活しなければいけないのですね。

    ★心と体が一緒が命ですから、食べ物や物質ばかりじゃなくて、人間の心・精神そのものが
    生命力に影響をしているということでしょうね。
    またまた、これはくわしく書く機会があると思います。
    いつも変わらぬご好意ありがとうございます★--------------------------:*・+☆+"*☆★☆


    Re: 鋭いなぁ、、、

    > 東洋に自由の概念は無かった・・・
    >
    > 成る程と、読みました、
    > 戦後の自由平等という教育は取って付けた、
    > 接木のような無意味さがあるのが、違うアングルに立つと違う世界が見えますな。
    > 今の若者の自由とは、そも実体なにぞや?

    ★今日から、連休明け。
    自由という言葉も、入れ物だけ真似ているという事がよく分かりますね!
    中味は、気まま放縦です。だらしなさを正当化していますよ~~ (笑い)
    このまま、日本人はどこまで流れていくのか~~ 不安です~~!

    いつも変わらぬご好意ありがとうございます★--------------------------:*・+☆+"*☆★☆

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    Author:寂光ーcosmos
    家系・個人の運命鑑定
    東洋運命学教室を主宰

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